第2章 優しいキスをして〈2〉
「あんなぁ……遠坂さん」
「……っ!」
いきなり私の頬を包み込み
「自分アホちゃうか?」
「え?」
「オレの不幸はオレが決めるんやで。遠坂さんが決める事やあらへん」
まっすぐと私の瞳を見つめてくる青木くんの瞳には、何も迷いがないように見える。
どうしてそんなにはっきりと言えるんだろう?
私には理解出来ない。
「……私がどういう人間か知らないくせに」
「寂しがり屋さんっちゅー事は知ってるで。1人でおるのが寂しくてアホな事しとるよね」
自分でもわかってるわよ。バカな事をしてるって。
でも、あそこには私を必要としてくれる人がいる。
たとえ体目的でもいいのよ。私を必要としてくれるなら。
「だから……オレにしとき」
「……それは無理よ」
さっきから話しは平行線。私と青木くんじゃ住む世界が違うもの。
「遠坂さんってへんこやな」
「……へんこ?」
「まあ、それはそれでええか」
なに1人で納得してるんだろう?
「とりあえず、そろそろ行こか」
「どこに?」
「ちょい連れて行きたい所があんねん」
「……連れて行きたい所……?」
「オレに付きおうて」
「ちょっ……!」
私の手を引き強引に歩きだす青木くん。どこに連れて行かれるのかわからないまま、私は渋々と歩きだした。
「あ……そや」
前を向いて歩いていた青木くんが振り返って
「手を繋いで歩いてたらラブラブカップルやな」
嬉しそうに微笑む青木くんが……あまりにも子供っぽく見えて私はなんだか照れくさくなってしまった。
<<<続く