第7章 復讐の日
確かに、両親が死んでから私は散々な人生を送ってきた。
こんな時に親がいたら…そう思う時も何度もあった。
それでも…黒川さんに出会って、私は幸せだと思えるようになった。
黒川さんを好きになって…好きだからこそ苦しい時もあったが、気持ちは日に日に増していって。
それは、黒川さんに両親を殺されたと知っても変わらなかった。
「シュリ、俺を殺せ。」
黒川さんの手に力がこもる。
黒川さんを復讐の道に走らせたのは私のお父さんが原因だ。
しかし黒川さんはなんの関係もないお母さんまで殺した。
私がここで黒川さんを殺せば、両親も、私も報われるのだろうか…。
ひなこの時にも思ったが、憎しみは憎しみしか生まない。
そんな負の連鎖にとらわれるくらいなら、憎しみなんて捨ててしまった方がいい。
「殺せないよ!!」
私は泣きながら叫んだ。
「殺せるわけないじゃん!!」
何よりも私は…。
「黒川さんのこと好きなのに、殺せるわけないじゃん!!」
私は黒川さんの手を振り払って拳銃を床に投げ捨てた。
例え両親の仇であっても、自分の人生を狂わせた人でも…愛する人を殺すことなんてできない。
驚く黒川さんの胸を叩いた。
「黒川さんの馬鹿!!黒川さんを殺してなんの意味があるの!?」
黒川さんは私から視線をそらした。
「俺は…お前から全てを奪った。」
「罪滅ぼしのために殺せって言うなら…死なないで私と一緒に生きてよ!!」
私はその場に泣き崩れた。
「復讐なんて悲しいだけだよ…っ。」
声を上げて泣いていると、黒川さんに抱き締められた。