第7章 復讐の日
「…あの日、ボロボロになってベンチに座ってたシュリが香澄に見えて…声をかけた。」
黒川さんはポツリ、ポツリと話し出した。
「でも、シュリと香澄は違った。俺はいつの間にか…シュリのことを好きになってた。」
「え…?」
顔を上げようとすると、黙って聞けと言わんばかりに黒川さんが私の頭を押さえた。
「シュリのことが好きだからこそ、全てを奪った自分が許せなかった。だから…シュリになら殺されてもいいと思った。ただ…青い薔薇の花束を渡してから、殺されたかった。シュリの夢を叶えてから死にたかった。」
ようやく聞けた、黒川さんの本音。
嬉しいはずなのに、胸が苦しくて切なかった。
「黒川さん、好きだよ。愛してるよ。」
「俺も…愛してる。」
そう言って、黒川さんは私の頬に手を添えてキスをした。
伝えたいことは沢山あるのに、言葉にできたのはこれだけだった。
黒川さんと一緒に生きていきたい。
そう思っていたのに、黒川さんに愛してると言われたのも、キスをされたのも、これが最初で最後だった―――