第7章 復讐の日
「…復讐だ。」
男は憤りを含んだ声でそう呟き、最後に私を見た。
私も殺される…そう思ったが、何故か男は私には何もせずにその場から立ち去った。
「…あの時の男が、黒川さん…?」
「思い出したか。」
「最初から全部知ってて私に声かけたの?」
「いや、最初はまさかお前が明智政樹の娘だとは思わなかった。」
「じゃあどうして…いつから?いつから知ってたの!?」
「お前から色々話を聞く内に疑い始めた。8年前に両親を亡くし、12月24日が誕生日…偶然にしては妙だと思った。お前から夢の話と苗字を聞いた時、俺の中でほぼ確信に変わった。一応お前の過去も調べさせてもらったよ。当時のショックで記憶を無くしたお前に周りの人間が両親の死因は事故死と教えたらしいね。」
黒川さんが私の両親を殺した。
原因はお父さんにあるが、関係のないお母さんまで殺した。
「どうしてお母さんまで殺したの?どうして私だけ生かしたの!!」
どうせなら、一緒に殺してほしかった。
「…まだ子どもだったから生かした。それだけだよ。」
「なんでもっと早く言ってくれなかったの?なんでわざわざ今日言うの…っ。」
「今日だから、言ったんだよ。」
黒川さんは私の目の前に立ち、私の手に拳銃を握らせた。
「お前から全てを奪った俺が憎いだろ?」
黒川さんは私の手を掴んで拳銃を自分の胸に突き付けた。
「俺の復讐はあの日終わった。今度はお前の番だ。俺を殺せ。」
黒川さんは本気でそう言った。