第6章 "その人"の名前
「ごめん、こんな所で泣いて…。」
気が済むまで泣くと、少しだけ心が軽くなった。
「いいんだよ。シュリ、今日は授業サボって遊びに行こうか!」
ひなこは笑顔でそう言った。
気を使って慰めてくれているのだろう。
「うん…そうする!」
私とひなこは学校を出て、まずゲームセンターに向かった。
「そういえば、シュリとプリ撮ったことないよねー、撮ろうよ!」
「プリって…プリクラのこと?」
「それしかないじゃん!」
ひなこはケラケラと笑った。
「私さ、プリクラ撮ったことないんだよね。」
「え、うそ!うそでしょ?」
「いや、本当に。」
「マジか~、じゃあシュリの人生初プリだね!」
今時、私達の世代でプリクラを撮ったことがないなんてあり得ないのだろうが、今まで友達がいなかった私は撮る機会もなかった。
ひなこのオススメの機種でプリクラを撮った。
落書きで何を書いたらいいか分からずに横目でひなこを見ると、慣れた様子で可愛い落書きをしていた。
"シュリ、元気出せ~!"
"シュリ、可愛い~!"
"シュリの人生初プリGET!"
ひなこは私のことばかり書いていて、なんだか照れくさかった。
私はペンでこう書いた。
"ひなこ、ありがとう。"
プリクラとは凄い物で、撮った画像を携帯に送信する機能まであった。
私とひなこ、一枚ずつ選べる。
「ひなこはこれにする!」
ひなこは迷わず私が落書きした"ひなこ、ありがとう。"と書いてある画像を選択した。
それが嬉しくて、私はひなこが落書きした"シュリ、元気出せ~!"と書いてある画像を選択した。
ひなこがプリクラを見ながら言った。
「シュリってやっぱり美人だよねー。」
「でもこれ、もはや別人じゃない?」
「それでも美人は美人だよ!」
「ひなこも可愛いよ。」
プリクラを撮った後UFOキャッチャーで遊んでいると、どこかの高校の制服を着た男二人が声をかけてきた。