第6章 "その人"の名前
夕方、様子を見に寝室へ行くと、黒川さんの顔色が凄く悪かった。
「黒川さん、大丈夫?」
そう声をかけると、黒川さんは辛そうに目を開けた。
「大丈夫大丈夫…。」
「ねぇ、体温計ないの?」
「あったよーな、なかったよーな…。」
私は黒川さんの額に手を当てた。
「凄い熱いじゃん!これ絶対に熱あるよ…ねぇ、病院行こうよ。」
「大丈夫だから…。」
「わかった…水持ってくるね。」
冷蔵庫から水の入ったペットボトルを持って寝室に戻り、黒川さんに渡した。
黒川さんは水を一口飲むと、また眠った。
私は心配でずっと黒川さんの傍にいた。