第6章 "その人"の名前
「あっ!!」
今日は土曜日。
私は明日提出日のレポートがあることを思い出した。
「ヤバい…英語のレポート明日までだった…。」
私は慌ててレポート用紙と筆記用具を鞄から出した。
「あー、最悪。ただでさえ英語苦手なのに…。」
レポートは1冊10ページ。
英語が苦手な私は、普段3日かけてなんとか1冊終わらせることができる。
提出日は明日…レポートはまだ全く手をつけていなくて真っ白。
「あーあ、頑張れシュリちゃーん。」
黒川さんが冷やかしてきた。
「見てないで手伝って!」
「なんでだよ…自分でやらなきゃ意味ないだろ。」
「そんな先生みたいなこと言わないで!お願い!」
「ったく…。」
黒川さんは呆れながらも隣に座ってレポートをパラパラと開いて内容を見た。
「なんだ、簡単じゃん。」
「え?黒川さん英語得意なの?」
「まぁ…ある程度は。」
「凄い!よし、これで今日中に終わる。」
「お前な…。」
黒川さんから冷たい視線を感じるが、気にしない。
何だかんだ言いつつも黒川さんはほとんど答えを教えてくれて、レポートは順調に進んでいった。