第6章 "その人"の名前
最近、私達の間でブーム…というか、私が勝手に始めたゲームがある。
「黒川さんの名前当てゲーム。」
「またそれ?」
黒川さんは毎回苦笑いをするが、気にせずゲームを始める。
何度聞いても教えてもらえないから、開き直ってゲームにした。
「タロウ。」
「違う。」
「ジロウ。」
「違う。」
「サブロウ。」
「違う。」
「リョウスケ。」
「その流れでいきなり"リョウスケ"って…。」
黒川さんはクスクスと笑った。
黒川さんは何だかんだ言いつつも、毎回このくだらないゲームに付き合ってくれる。
「じゃあ…ハヤテ!」
そう言うと、黒川さんは目を丸くした。
「え…まさか当たり?」
「いや、犬の名前みたいだなって思っただけだよ。」
「まぁ確かに…犬の名前っぽいかも。」
いつも自然とゲームは終わり、今日も自然と終わった。