第5章 不審な出来事
店に入り、席についた私はメニューを広げた。
「黒川さんは何か食べる?」
「ドリンクバー。」
「ドリンクバーはわかってるよ。食べ物。」
「いや、食事はいいや。」
「わかった。私はー…今日はオムライスにしよ。」
店員に注文すると、黒川さんが立ち上がった。
「よし、シュリ。ドリンクバーやるぞ。」
「はいはい。」
二人でドリンクバーコーナーに行き、私は口を出さずに黒川さんを見ていた。
黒川さんはホットドリンク用のカップをコーヒーメーカーにセットし、ボタンを押した。
「ホントこれ面白いよな。」
「面白いのは黒川さんだよ。」
コーヒーが注がれると、黒川さんは満足げな顔をした。
「良かったね。」
「これ家に欲しいな。売ってないのかな?」
「普通のコーヒーメーカーなら売ってるけど…流石にこれは売ってないよ。」
「そっか。」
黒川さんは残念そうに呟いた。