第5章 不審な出来事
今までも黒川さんが仕事で家を空けることは多々あったが、2週間も帰って来ないのは初めてだった。
学校に行ってもひなこには会えず、心配で仕方なかった。
黒川さんもいない、ひなこにも会えない…不安と寂しさで押し潰されそうだった。
夜、気をまぎらわすためにテレビを見ていると、玄関のドアが開く音がした。
私は玄関に飛んで行った。
「ただいま。」
黒川さんはいつもと変わらない様子でそう言った。
何で、連絡くれなかったの?
2週間も何処に行ってたの?
心の中ではそう思ったのに、黒川さんの顔を見たら安心して泣いてしまった。
「なに?どうしたの?」
黒川さんに頭を撫でられて、つい本音をもらしてしまった。
「寂しかった…っ。」
「あー…ごめんね?」
黒川さんに宥められながら、私達はリビングのソファーに座った。