第5章 不審な出来事
マンションに帰ってもひなこの事が頭から離れなかった。
ひなこは私を裏切った罰だと言ったけど、私はそんな風には思わない。
レイプされることがどれだけ辛いか知っているから…。
私は、黒川さんに助けられた。
助けてくれる人がいた。
でもひなこには助けてくれる人がいない。
ひなこはこれからも犯され続ける…終わりなんて、あるのだろうか。
ふと、ひなこの手首のリストカットの痕を思い出した。
ひなこが自ら命を断ってしまうのではないだろうか…そんな不安に駆られ、ひなこに電話をかけようとした。
しかし、そこで気付いた。
私はひなこの連絡先を消してしまったんだ…。
ひなこの自宅の場所なんて知らないし、次いつ会えるかも分からない。
ひなこが学校に来れば、1週間後には会える。
でもそれも確実に会えるかは分からない。
一人で抱えきれなくなった私は、黒川さんに電話をかけた。
しかし、黒川さんは電話に出なかった。
それ所か連絡一つ無いまま、黒川さんは2週間マンションに帰って来なかった。