第5章 不審な出来事
ひなこの話によると、私がレイプされた数日後、ひなこもシュンを含む三人にレイプされたらしい。
不幸中の幸いか、ひなこは私のように妊娠はしなかったが、その後は無理矢理ピルを飲まされてレイプされ続けている…とひなこは言った。
「シュリを裏切った罰だよね…。」
ひなこの手首には、リストカットの痕があった。
一度や二度ではない。
何度も何度も傷付けた痕だ。
それを見て、胸が苦しくなった。
「ひなこ、警察に行ったら…?」
「警察なんて行ったら、警察が動いてくれる前にもっと酷いことされるに決まってるよ!!」
以前のひなこからは想像できないヒステリックな姿に、私はどうしたらいいか分からなかった。
「でも、私にできることなんて…。」
そう言うと、ひなこは我に返った。
「そう、だよね…ごめんね。助けてなんて言って。ちょっと誰かに話聞いてほしかっただけなんだ。ごめんね、シュリ。ごめんね…。」
ひなこは痛々しい笑顔で何度も謝った。
助けられるなら助けてあげたい。
しかし、私にできることなど何一つ浮かばなかった。
「ひなこ…ごめん。何もしてあげられなくて…。」
「ううん。シュリに話聞いてもらったら楽になったよ、ありがとう。」
その日は授業の内容など全く頭に入らず、複雑な気持ちを抱えたままマンションに帰った。