第4章 募る不信感と恋心
人生初のメリーゴーランドの感想は正直"こんなものか"という感じだった。
「なんか思ってたのと違った。」
「お前な…。」
黒川さんが軽く私を睨んだが、 そこはスルーした。
次に目に止まったのはお化け屋敷だった。
でも正直、ホラー系は苦手だ。
しかし人間、怖いもの見たさという心理があるわけで。
「黒川さん、お化け屋敷入ろうよ!」
「いいけど…怖いの好きなの?」
「ううん。苦手だよ。でも人生で一回くらい体験してみたいから。」
私と黒川さんはお化け屋敷に入った。
入り口からして怖いし、中は薄暗くて少し冷えていた。
黒川さんは平然とした様子で進んで行く。
「黒川さん、ちょっと待ってよ!」
私は黒川さんの腕にしがみ付いた。
突然、目の前に髪の長いお化けが現れた。
こういう時、叫び声を上げるのが普通なのかもしれないが、私は驚きすぎて硬直してしまった。
「…シュリ?おーい。」
黒川さんが私の顔の前で手を振った。
私はハッと我に返った。
そんな私を見て黒川さんが楽しそうに笑った。
「お前、ここは普通叫ぶところだろ。」
「いや、なんか驚きすぎて逆に声が出なかった…。」
余程私のリアクションが面白かったのか、その後黒川さんはずっと笑っていて、お化け屋敷の雰囲気が台無しのまま出口に着いてしまった。