第4章 募る不信感と恋心
クレープを食べ終えて、遊園地に入った。
目の前には、大きな観覧車。
「大きいね…。」
「まぁ、観覧車だからな。」
あまりの大きさに呆気に取られた。
「黒川さん、乗ろうよ!」
「乗るなら夕方の方がいいんじゃない?」
「どうして?」
「多分、その方が景色が綺麗だよ。」
夕焼けに照らされた横浜の街を想像して、納得した。
「確かにそうだね。じゃあそれまで何しよう…。」
「他の乗り物乗れば?」
辺りを見回すと、沢山の乗り物がある。
私は一番最初に目に止まった乗り物を指差した。
「黒川さん、あれ乗ろうよ!」
私が指差したのは、メリーゴーランド。
「乗ろうよ、って…まさか俺も一緒に?」
黒川さんの顔が引きつった。
「うん。一人で乗っても楽しくないじゃん。」
「いや、一人で乗ってこいよ。」
「やだ。一緒に乗りたい。」
黒川さんをじっと見つめると、溜め息をつかれた。
「…わかったよ。」
「やった!」
乗り物券を買い、どこに座ろうか悩んでいると黒川さんに手を引かれた。
「あれにしようよ。」
黒川さんの視線の先には馬車の形をした乗り物があった。
「いいよ、あれなら周りからそんなに見えないもんね。」
黒川さんは余程恥ずかしいのか、早々に馬車に乗り込んだ。
続いて私も乗り込み、二人並んで座った。
「この年でメリーゴーランド…。」
「黒川さん、動くよ!」
項垂れる黒川さんを横目に、生まれて初めて乗る私は少しドキドキしていた。
アナウンスが流れ、メリーゴーランドが動き出した。