第4章 募る不信感と恋心
遊園地に着くと、何やら行列ができていた。
それは、テレビで見たクレープ屋さんだった。
その番組で訪れた芸能人が凄く美味しいと絶賛していたのを思い出した。
「黒川さん。」
「なに?」
「クレープ、食べたい。」
行列を指さすと、黒川さんは苦笑いをした。
「これ並んでまで食べたいの?」
「うん。凄く美味しいんだって…ダメ?」
「別にいいけど…。」
15分並び、ようやく私達はクレープを買えた。
しかし黒川さんは買わなかった。
「黒川さん買わなくてよかったの?」
「俺、甘いのは苦手。」
「そっか。」
いちごと生クリームが沢山盛られたクレープを一口食べた。
「おいしい!」
テレビで放送されただけあり、生地はモチモチだしクリームも程よい甘さで美味しい。
黒川さんが私を見て微笑んだ。
最近、黒川さんが自然な表情を見せてくれることが多い気がする。
本人には言わないが…。