第1章 レイプ
昨日は考える余裕が無かったが、今日、仕事が休みの日で良かった。
もしも仕事だったら今頃無断欠勤扱いで最悪クビだっただろう。
何があっても、一人で生きて行かなければいけない。
私には頼れる家族も友達もいないのだから。
明日からはまた仕事に行って、学校のレポートをやって…悲しみに暮れている暇などない。
いや、逆にそんな時間無い方がいいのかもしれない。
昨日のことなど早く忘れてしまいたい。
黒川さんと過ごした短い時間は私にとって非日常のようだった。
見知らぬ男に公園で拾われて助けてもらったなんて、まるでフィクションの世界だ。
私はまた、私の日常に戻る。
「黒川さん、帰る。」
「わかった、送ってくよ。」
玄関で、黒川さんに1枚のメモ用紙を渡された。
そこには携帯番号が書かれていた。
「これ、俺の番号。何かあったら連絡しな。」
「ありがとう。」
多分もう、この人と関わることはないけど…。
私はメモ用紙を受け取った。