第1章 レイプ
「ここで大丈夫。」
黒川さんにアパートの前まで送ってもらった。
「黒川さん、ありがとう。」
お礼を言うと、黒川さんはニッコリと笑った。
やはりどこか胡散臭いが、黒川さんについて深く考える必要はない。
「じゃあ…さようなら。」
そう言って車から降りた。
黒いベンツが去って行くのを見届け、私は部屋に帰った。
私はスマホのアドレス帳からひなこの連絡先を消した。
別に責める気はない。
ただもう関わりたくないのだ。
私は翌日から仕事に行き、勉強をし、日常を取り戻していった。
勿論学校にも行ったが、ひなこと会うことは無かった。
あの日のことはなるべく思い出さないようにした。
そうして、2ヶ月の月日が経った―――