第1章 レイプ
翌朝、目を覚ますと黒川さんは窓際で煙草を吸っていた。
「おはようございます…。」
そう声をかけると、黒川さんはこちらを向いた。
「あ、おはよ。」
この人…本当に何もしなかった。
内心少し驚いた。
「着替えてくる。」
そう言って脱衣所で着替えを済ませ、またリビングに戻った。
黒川さんはソファーに座って缶コーヒーを飲んでいた。
私も喉が渇いた…そう思っていると、黒川さんが言った。
「シュリもコーヒー飲む?」
私が顔に出やすいのか、この人の察しがいいのか分からないが、心の中を見透かされることが多い気がする。
「コーヒー飲めない…苦いから。」
黒川さんは鼻で笑い、立ち上がった。
「お子ちゃま。あと水しか無いんだけど。」
「水でいい。」
子ども扱いされたのが少し癪に障った。
黒川さんは冷蔵庫から500ミリリットルのペットボトルの水を取り出して渡してきた。
「ありがと。」
黒川さんは微かに笑みを浮かべて私の頭を撫でた。