第1章 おくすりのんだら
「デカパン博士ー!お疲れ様でーす!」
私はトト子。なんやかんやあって、ついこの間、以前より交際していたカラ松くんと晴れて同棲することになった。
私のお隣さんは、この界隈では有名な天才発明家、デカパン博士だ。
彼の体には不釣り合いとも言える大きなパンツ一枚に白衣をまとった姿は、どこから見ても変態だが、
実は頼みごとに快く応じてくれるような優しい人であったりする。
日夜研究にいそしむ彼は、相談に対して、大抵出来合いのモノを渡すことが多いのであるが、
用途に合うような薬がなかった場合、新しく作ることになる。
こうして、今も昼も夜も顧みず、彼は研究しているわけである。
しかし、お隣さんとしてはいささか心配で、日頃からお世話になっていることもあり、
カラ松くんと相談して、研究の間は、差し入れをすることに決めたのだ。
「ホエホエ、いつも悪いダス!そこに置いておいてほしいダス~」
「ここに置いておきますね!……それにしても、凄い設備ですね~」
デカパン博士から指示された場所は、テーブルの上で辛うじて空いている場所であり、
それ以外は黄緑やビビットピンクに光るフラスコに埋め尽くされていた。
「ホエ、今、猫になれる薬を開発しているんダス。」
デカパン博士が、机に向かいながら話す。
「へ~!凄いですね!猫になれるなんて!」
普段から猫のような一松くんが聞いたら、どんなにか欲しがるだろう。