第3章 あおのゆめは【カラ松】
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カラ松くんの話によると、
仕事中にいきなり博士から連絡があったものでおどろいたそうだ。
事の発端などを説明されたあと、博士にそれはそれは何度も謝罪され、
今はとにかく私を見つけるのが先だと、急いで研究所に向かったらしい。
「わざわざ早退してくれたの?」とたずねると、カラ松くんは、
「あたりまえだろ。」とほほえみながら頭を撫ででくれた。
それから、博士の機転によって無事装着されたGPSを元に
私を追跡したらしい。
「無事に見つけられた時は、ホッとしたよ。」
カラ松くんはそう言っていた。
あのあと、私は無事に元に戻ることができた。
薬の効果が切れたのだ。
私を誘拐した犯人は無事逮捕され、今では冷たい檻の中だ。
一松くんにその旨を伝えると、大変驚かれ、
始終、犯人をひねり潰したい、なんて呟いていた。
「幼かったとはいえ、知らない奴について行くなんて……」
と、カラ松くんに怒られてしまったが、それは本当にそうだと思う。
あのまま、カラ松くんに助けてもらえなかったら、
どうなっていたことか。それでも、きっと私は信じていただろう。
彼がが迎えに来てくれることを。
「俺が、これまで以上に守ってやらないとな。」
「もう戻ったんだから大丈夫!」
そう拗ねたように、腰に手を当てて、すこし頬を膨らませてみせる。
「怖かったんだ。トト子が誘拐されたと聞いて。
変なやつにどうにかされてるんじゃないか、とか
もう会えないんじゃないか、って考えたら、
俺の生きる意味なんてないんじゃないか、とさえ思えたよ。
……だから、もう。俺のそばからいなくならないでくれ。
……ずっと、一緒に生きよう。トト子。」
「うれしい、カラ松くん……!」
愛おしさがこみ上げてきて、耐え切れずにカラ松くんの胸に飛び込んだ。