第3章 あおのゆめは【カラ松】
「きいたこと、あるような……やっぱり、おもいだせないや。」
かぶりをふった少女は、一人呟く。
「わたしにも、おうじさまが、きてくれたら、いいのにな……さび、しいよっ……!」
涙目になってしゃがみ、自分をかき抱く様にした少女は、
小さく鳴り響く玄関の物音におどろくこととなる。
ガチャガチャ。
「おじさん、かえってきたのかな。」
バンっ!!
扉が、勢いよく開かれる。
「トト子!!」
そこにいたのは、幻でも、夢でもない。
想像していたものと寸分たがわぬ王子さまだった。
「トト子、心配したんだぞ!デカパン博士から連絡があって、急いで帰ってきたんだ。
博士からGPSをつけていて、本当によかった。
さぁ、帰ろう?」
瞬間、身体が熱く疼き、思い出す。
あぁ、あぁ。この人は……私が恋焦がれ、会いたいと、待ち望んだ人。
「カラ松くん……!!」
「あぁ。トト子。迎えにきたよ。」