第1章 嘘でしょ?
「帰って来たら見ず知らずの女の子が玄関に倒れてるでしょ?びっくりしたよ」
「つまり、見ず知らずの私を優しい貴方が看病してくれてたんですね」
「看病って程でもないけどね。寝かせてただけだし
あと、貴方なんて呼ばなくていいよ
名前、知ってるみたいだし」
……せっかく見逃してくれたと思ったのに
「あれ?黙っちゃうんだ?
でもさ、なんで俺の名前知ってるの?」
此処は致し方無い
悪いが嘘を付かせていただこう
「貴方有名な情報屋でしょ
知らない人居ないですよ」
「…………」
あ、黙った
なんかまずいこと言ったかな?
「ま、そういう事にしてあげよう」
「疑ってるんですか?」
「なんで此処に倒れてたの?」
ああそう、無視ですか。
「自分でもわかんないファンタジーな展開なんですよ今」
「気づいたら此処に居た、みたいな?」
「まったくもってその通りです」
「……嘘はついてない見たいだね」
「嘘つくの、嫌いなんで」
……すいません、これこそ嘘です
さっき嘘つきました
「ま、いっか」
良いのか
「じゃあ、ここからが本題
君は誰?それと、調べても戸籍が出てこないのはどうして?」