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【おそ松さんR18】君がため

第12章 つぶやき【おそ松】





それは、数年前の記憶が見せた夢だった。



わたしは、高校生で、着ている服も高校時代に毎日のように袖を通していた紺色のセーラー服。髪も当時そうだったように黒髪ロング。


わたしは、放課後、教室で本を読んでいた。


高校時代、わたしは、よく、部活のない日は遅くまで教室にのこって、ひとり本を読んでいた。

本は、昔から大好きだった。

流行の小説や、恋愛小説、推理小説、海外文学、なんでも読んだ。

だから、放課後の暗い教室で、誰にも邪魔されずに読書をするのは、わたしの至福の時間だったのだ。


日が落ちて、灯りがないと文字が読めなくなってきたころ。


「今日はなに読んでるの?」


ひょいと、突然、読んでいた本を取り上げられた。

わたしの本をとった犯人は、これまた高校生のころの……


顔がわからないけれど、6つ子のだれか。


学ランの前ボタンを全開にしているため、中に着ている校則違反のカラーパーカーが丸見え。

でも、そのパーカーの色も、薄くて曖昧だ。


「あれっ… なんでここに?」

『ん? なんでって?』

「もうとっくに下校の時間だよ? どうしてまだ帰ってないの?」

『あー……なんとなく?』


彼は、そう言って、歯を見せて笑った。


『家に帰ってもすることないし』

「そっか。まだ帰らないの?」

『うーん。ほんとはそろそろ帰るつもりだったけど、気が変わった』


彼の手が伸びてきて、わたしの手をつかんだ。


「……?」

『屋上、行こう。付き合ってほしいんだ』



思い出せない。

このときわたしの手を引いたのは、

誰だったっけ。




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