第11章 本当は【カラ松+一松】
おそ松「さくらさ、そろそろ家の中にいるの飽きたっしょ?」
おそ松くんがそんなことを言い出したのは、十四松くんと仲直りできた翌日のこと。
十四松くんは、久々に野球に行くと言って出かけていき、一松くんもそれに付き合うために十四松くんについて行った。
チョロ松くんは、たぶん、ハロワ。トド松くんは、今日も家に帰っていない。
なので、今、家にいるのは、居間にいるわたしとおそ松くん、そして二階にいるカラ松くんだけ。
「飽きたって……どうしてそんなこと訊くの?」
たずね返すと、おそ松くんは、鼻の下をこすって笑った。
これは、高校のころからのおそ松くんの癖だ。
おそ松「別に深い意味はないけど? ただ、あまり家にこもってばっかだと病気にでもなっちまうんじゃないかと思って」
「ってことは……外に出てもいいってこと?」
まさか、おそ松くんがそんな話を自ら持ちかけてくるとは思わなかった。
でも、よくよく考えたら、おそ松くんは、わたしがカラ松くんと散歩に行くと言ったときも、無理に引き留めたりはしなかった。
もしかしたら、わたしが逃げなければ、わりと自由に外出してもいいという考えなのかもしれない。
おそ松「そーだね。さくらが外に出たいって言うなら、俺は別にいいと思うよ?」
「ほんと……? 逃げたりしないから、外に出たい……」
おそ松「でも、その代わり、」
おそ松くんの目がぎらりと光った。
おそ松「トド松のこと、探してきてくんねーかな?」
「トド松くんを……?」
おそ松「うん。あいつ、あの日以来ぜんぜん家に帰ってこないじゃん? ケータイにかけても繋がんねえしさ。でも、きっと、さくらが呼び出せば来ると思うんだよねー」
「それで、家に帰ってこいって説得しろってこと?」
おそ松「そうそう。話がわかるねー、さすがさくら」
おそ松くんは、わたしの肩に腕を回して、首もとにすりすりと顔をすりつけた。
思わず、びくっと反応してしまうわたしを見て、にやりと笑うおそ松くん。
おそ松「あー……あいかわらずエロいねー、さくら。帰ってきたらさ、久々にヤらせてよ」
「う……そ、そんな、」
おそ松「とにかく、トド松のこと、よろしく頼んだぜ」