第10章 十四松のひみつ【十四松】
その後、十四松くんは、ひとしきり泣いたあと、泣き疲れたのか、わたしの腕の中で眠ってしまった。
その寝顔は、何かが吹っ切れたかのような安心しきった顔だった。
わたしは、眠った十四松くんを、布団に寝かせた。
今すぐに、とは言わない。
でも、いつか、話してくれるよね……?
十四松くんが抱えているものを、わたしにも教えてくれるよね?
わたしは、そっと十四松くんの髪の毛を撫でた。
さらさらの髪の毛を指で梳く。
「おやすみ、十四松くん」
そっと呟くように言って、立ち上がる。
そして、眠る十四松くんに背を向けて、お風呂に行くために部屋を出た。
だから、わたしは気付くことができなかったのだ。
十四松くんが、本当は起きていて、
物憂げに顔を歪めたことに。