第42章 桃色《逆ハーEND》
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行為が終わったあと、疲れきって動けなくなってしまったわたしを、トド松くんは、膝枕してくれた。
トド松「ごめんね、さくらちゃん。無理させすぎちゃった…」
眉を垂れて、うるうると瞳を揺らすトド松くん。
もう……そんな顔されたら、怒れるわけないじゃん。
やっぱりあざといなあ、まったく……
「いいよ、大丈夫だよ」
トド松「ほんとに…?」
「うん。ほんとう」
わたしが、微笑むと、トド松くんは、つられて笑顔になり、わたしの髪の毛を優しく撫でた。
その瞬間、ふわっと甘い香りが広がる。
「トド松くん、香水つけてる?」
トド松「あ……うん、つけてる。ごめん、臭かった?」
「ううん……ちがう。いい香りだなーと思って」
わたしは、トド松くんの手を引き寄せ、その手首の香りを嗅いだ。
やっぱりここにつけてる……お花みたいな甘い香り……
「トド松くんらしい香りだね」
トド松「ゲランのチェリーブロッサムっていう香水だよ」
そう言って、トド松くんは、鞄をがさがさと漁り、中からピンク色の香水のボトルを取り出した。
トド松「これ、さくらちゃんにあげるよ」
「えっ……? な、なんで? トド松くん、自分のために買ったんじゃないの?」
トド松「いい香りだなーと思って買ったんだけど、僕よりさくらちゃんのほうが似合うと思うから」
そして、トド松くんは、香水のボトルをわたしの前に差し出した。
「ありがとう……」
わたしは、それを受け取り、蓋を開けた。
しゅっと手首にひとふりして、それを耳の裏にすりつける。
「やっぱりいい香り……ありがとう、トド松くん。大切にする」
トド松「うん、どういたしまして」
そう言って、トド松くんは、にっこりと笑った。
そして、
トド松「さくらちゃん……やっぱり好き……」
身を乗り出して、わたしの唇にキスを落とした。