第5章 いただきますのごちそうさま【チョロ松】
「げほっ…!げほ、げほっ!」
さくらちゃんは、体を折って苦しげに咳き込んだ。
あー、むり。
可愛すぎて、好きになっちゃいそう。
チョロ松「さくらちゃん……またよろしくね」
「……っ」
さくらちゃんは、僕を見上げ、目を見開き凍りついた。
チョロ松「手錠は、僕からおそ松兄さんに返しとくよ。夕飯つくるから手伝って」
「夕飯……?」
チョロ松「そう、今日は僕の当番だから。さくらちゃんもお腹すいてるだろ?」
「そ、それは……」
チョロ松「あ、それと」
僕は、さくらちゃんの顎をつかみあげた。
チョロ松「逃げ出そうとしたら、そのときは容赦しないから。手錠でも鎖でもつかって雁字搦めにするから」
「チョロ松く……ん」
さくらちゃんは、すっかり怯えきった声で呟いた。
あの明るくて優しいさくらちゃんが、僕の言葉で怯えている。
僕のことを怖がっている。
僕を涙目で見上げている。
その事実に、ぞくりと体が震えた。
優しくしてあげたときに笑うさくらちゃんの笑顔も好きだけど、
おびえた顔のほうが、もっともっと好きだ。