第39章 赤と緑《逆ハーEND》
遠くで、ゴミ収集車の音楽が鳴っている。
……そっか。もう10時なんだ……
なんて、ぼんやりとした頭で考える。
みんな出かけちゃって、ひまだ。
みんなが出かけてからわたしがしていることと言えば、こうして2階の寝室の床に寝そべって、ぼーっと天井の染みを眺めているだけ。
「洗濯物でもたたもうかな……」
本当は、わたしの当番じゃないけど。
でも、みんな出かけちゃったんだから仕方ない。
わたしは、勢いをつけて身体を起こし、部屋の隅に放り出された洗濯物の山のところに移動した。
みんなの洗濯物を1つ1つ畳みながら、なんだかわたしお母さんみたいだな、なんてことを考えてしまい、思わず唇が綻んだ。
……と、そのとき。チョロ松くんの緑色のパーカーを手に取ったわたしは、手を止めた。
この間の出来事が、一気に頭の中に蘇る。
この前……チョロ松くんのこのパーカーの香りを嗅がされながら、ひとりでさせられたときのことだ。
「……っ、もう、やめてよね。恥ずかしい」
不意に、そんなことを思い出している自分が恥ずかしくなり、頭を振った。
しかし、あのときのチョロ松くんの恍惚な表情と、あの優しい香りは、頭から出ていってくれなくて……
「ちょっと、だけ……」
わたしは、チョロ松くんのパーカーを抱き寄せ、その香りを吸い込んだ。
……優しくて、清潔で、落ち着く香り。
柔軟剤の香りに混ざって、ほんのり、チョロ松くんの香りがする。
「はぁ〜〜……いい香り」
この香り、本当に好き。
なんだろう……こう、わたしのツボにぐっとハマるんだよね。
「ちょろまつくん……っ」
……まずい。なんか、変な気持ちになってきた。
わたしは、パーカーの香りを嗅ぎながら、そっとスカートの中に手を伸ばした。
下着の上から触ってみると、そこは、何故かしっとりと湿っている。
「ぁ……う、そ、そんな……」
わたし……どうしちゃったの?
パーカーの香りで濡れてるなんて……本当に変態みたいじゃん。
「や…は、うぅ……」
声が出るのを我慢するために、チョロ松くんのパーカーを口に押し当てる。
そして、下着を膝までぬいて、自分のそこに指を這わせた。