第37章 青と、海と、涙と《カラ松END》
ふたりで崖の突端まで行き、崖の下の海を見下ろす。
波はあるけれど、比較的静かな海だった。
カラ松「……ごめん、さくら」
ひとつに括られたカラ松くんの手がわたしの手を握る。
その手のぬくもりが愛しくて、わたしも強く握り返した。
「どうして謝るの? これは、わたしがお願いしたことなのに」
カラ松「だって……俺があんなことしなければ……」
「カラ松くんのせいじゃないよ。どのみち、わたしは、もう戻れなかったから……」
わたしは、カラ松くんの肩に、空いた左手を置き、背伸びをしてキスをした。
その瞬間、カラ松くんの瞳から、涙がこぼれた。
けれども、わたしは、キスをやめなかった。
カラ松くんの肩をつかみ、ますます強い力で唇を押し付ける。
しばしそうして唇を重ね合ったのち、わたしたちは、どちらからともなく唇を離した。
「好きだよ、カラ松くん」
カラ松「俺も、さくらが好きだ。世界中の誰よりも、何よりも」
「ありがとう… 絶対に離さないでね」
カラ松「ああ。さくらを離さないし、離れないよ」
「…行こう、カラ松くん」
カラ松「…うん、行こう」
わたしたちは、せーの、で飛んだ。
落ちていく瞬間、夜の黒い海が、一瞬、鮮やかできれいな青に見えた。
きれいな、青……
カラ松くんの、色。
……そっか。
これは、ハッピーエンドだ。
誰がなんと言おうと、わたしたちは、今、幸せなのだから。
<End...>