第5章 いただきますのごちそうさま【チョロ松】
Side チョロ松
さくらちゃんは、僕の高校時代のクラスメイトだった。
可愛くて、だれにでも優しくて、フレンドリーで……そんなさくらちゃんは、誰からも好かれる女の子だった。
僕ら6つ子の次男であるカラ松兄さんがさくらちゃんを家につれてきたのは、高校一年生の夏。
ふたりは、同じ演劇部で、家も近かったから仲良くなったんだそうだ。
僕は、同じクラスだったしさくらちゃんを知っていた。
けれど、喋ったのはその日が初めてで。優しい声で話すさくらちゃんが、とても……なんていうか、素敵だなあと思った。
それから、さくらちゃんは、何度もうちに遊びに来た。
教室でも話しかけてくれるようになった。
僕は、さくらちゃんの笑顔が好きだった。
でも、それは、決して恋愛感情ではなかった。……はずだった。