• テキストサイズ

【おそ松さんR18】君がため

第2章 再会【一松、おそ松+十四松】




連れ込まれた路地裏。

突き当たりにはブロック塀が高くそびえ、背後には背の高い男が立ち、わたしは、完全に逃げ道を塞がれていた。

まずい、と思った。


『なあ、オネーチャン。あんた、自分が何したかわかってんの?』


突き当たりのブロック塀に背をもたれている二人の男のうち、一人が、吸っていた煙草を地面に落とし、足でぐりぐりと踏みつぶしながら言った。

とたん、背後の男に腕をつかまれ、羽交い締めにされる。


「くっ……ぅ」

『可愛い声だしちゃって。そんな声だせば許されると思ってんの?』


ことは、さかのぼること30分前。

わたしは、大きなキャリーケースを引きずりながら、大通りの歩道を歩いていた。5年前に住んでいたこの街に対する懐かしみと、この街で始まる新たな生活に、胸をときめかせながら。

そう、わたしは、5年前まで住んでいたこの町に、今日戻ってきたのだ。

今日から、わたしは、またこの町で暮らせる。幼少期から高校時代までの思い出がたくさん詰まったこの町で。

だから、その嬉しさのあまり、ちゃんと前が見えていなかったのだと思う。

わたしは、前から来る3人組の男に気付かなかった。

そして、運が悪いことに、キャリーケースの車輪で、男の一人の足をひいてしまったのだ。

ごめんなさい、とわたしが口にするよりも早く、男の手がわたしの胸ぐらを掴んでいた。

わたしは、なす術もなく、この路地裏に連れ込まれ、そして今に至る。


『オネーチャン。俺たちが誰だか知らないでしょ?』


そう言って、男は、自分の頬を指でスーッとなぞった。

引っ越してきて早々、ヤクザに絡まれるなんて、最悪だ。


「ごめんなさい……ちょっとぼーっとしてて」

『ぼーっとしてただァ? そんな言い訳で俺たちが許すとでも思ってるワケ?』

『きちんとした方法で謝罪してもらわねえとなァ』


男の一人が、ブロック塀から背中をはなし、こちらへ近づいてくる。

そして、わたしの前で立ち止まると、


ビリィィィィィ!!


わたしの着ていたブラウスを一気に引き裂いた。



/ 464ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp