第33章 誰よりも君が好き《トド松END》
トド松くんと飲みに行った翌日。
トド松くんは、朝から張り切ってお洒落をしていた。
どこか出かけるのかな、と思い、
「トド松くん、出かけるの? お昼いらないかんじ?」
とたずねた。
すると、トド松くんは、髪の毛をワックスでセットしながら、わたしを振り向き、にっこりと笑った。
トド松「うん、いらないよ。あと、夕飯もいらないから」
「あ……そ、そうなの? なにか用事?」
トド松くんは、髪の毛をいじっていた手をとめて、わたしに向き直った。
そして、わたしの両手をにぎり、ぎゅっと力をこめた。
「……?」
不思議に思い、トド松くんを見ると、トド松くんは、いつもの可愛らしい笑顔で、こう言った。
トド松「……あのね、さくらちゃん。僕、彼女ができたんだ」
…………え?
言葉が出てこなかった。
トド松くんが、何を言っているのかわからず、硬直してしまう。
「か、かのじょ……?」
トド松「うん。向こうから告白してきてくれて、それで付き合うことになったんだ〜」
「え……あ……、そ、そうなんだ」
自分の顔がひきつっていくのが、わかる。
トド松くんに……彼女?
でも、トド松くんは、わたしのことが好きだったはずじゃ…?
『こういうことできるのも、今日で最後だからさ』
『このままじゃダメだって、ずっとわかってたんだ』
『だから……もう終わりにしようね』
昨日の夜、トド松くんがわたしにかけた言葉が、頭をよぎった。
トド松くん……まさか……
昨日、本当に何もかも終わりにするつもりで、ホテルに行ったの?
本当に最後にするつもりだったの?
トド松「僕、もうさくらちゃんのこと諦めたから。だから……さくらちゃんも、一松兄さんとカラ松兄さんと、お幸せにね」
「……」
そうなんだ。
おめでとう。
トド松くんもお幸せにね。
そう言葉をかけなきゃいけないのに……なぜか、声にならなかった。
心がざわついて、落ち着かない。
なんなの、これ……