第32章 期待《トド松END》
それから数日後のこと。
トド松「ねえ、さくらちゃん。今日は飲みに行かない?」
夕方、みんなで居間でテレビを見ていると、トド松くんが突然そんなことを言い出した。
おそ松「おっ、いいねえ〜♪ 飲み行こうぜ、飲み!」
トド松くんの言葉に、すかさず、おそ松くんが、反応する。
しかし、トド松くんは、そんなおそ松くんに向かって顔をしかめた。
トド松「なに言ってるの、おそ松兄さん。僕とさくらちゃんふたりで行くの。おそ松兄さんはついてこないで」
おそ松「えーっ、まじかよ! お兄ちゃんも連れてってよ〜。なあ、トド松う〜」
トド松「気持ち悪い声出すなっ」
トド松くんは、泣きつくおそ松くんを引っ剝がして、わたしのところへ逃げてきた。
トド松「……ね、さくらちゃん。いいでしょ?」
なんて、上目遣いでたずねてくる。
……ああ、もう! だから、そういうのずるいって。
そんな目でお願いされたら断れないじゃん…!
「…うん、いいよ? 飲み、行こ?」
トド松「やったー! ……というわけだから、兄さんたち。僕とさくらちゃんは、今から飲みに行ってきます!」
トド松くんは、ハイテンションで敬礼をした。
……なんか、キャラ変わってない? まだ素面だよね?
トド松「じゃあ、さくらちゃん。30分で支度してね♪」
「うん、わかった〜」
……トド松くんと出かけるのっていつぶりだろう。
トド松くんのことだから、きっと、ばりばりにお洒落するんだろうなあ。
わたしも、並んでも恥ずかしくないように、ちゃんとお洒落しなくちゃ。
……と意気込んだはいいものの。
わたしが持っている服なんて限られているし、そもそも大してお洒落なものがない。
一応、普段あまり着ない白いワンピースを着てみたけど……わたしに似合わないことこの上ない。
ってか、似合わないから普段着ないわけだし。
簡単にヘアアレンジもして、軽く化粧をして、玄関におりていくと、トド松くんは、既に用意を終えてわたしを待っていた。
「お、おまたせ……」
トド松「えっ! さくらちゃん……めちゃくちゃ可愛いんですけど!」
トド松くんは、わたしを見るなり、顔を真っ赤に染めて、目を見張った。