第30章 はんぶんこ《十四松END》
「いいよ、首にしよう」
さくらちゃんは、頷くと、カチカチとカッターの刃を出した。
そして、それをぼくの首にあてがい、勢いよく引いた。
とたん、首に強い痛みを感じ、血がぽたぽたと滴った。
十四松「…ッ、いいかんじ、さくらちゃん」
「わたしのも切って、十四松くん」
ぼくも、自分のカッターの刃を出して、さくらちゃんの首にあてる。
そして、刃を引く前に、さくらちゃんの唇にキスをした。
深く舌を絡め合いながら、ゆっくりゆっくりカッターでさくらちゃんの首に傷をつけていく。
「…ッ痛」
さくらちゃんの顔が、痛苦に歪む。
ぼくは、唇を離し、今度は、今さっきぼくが傷をつけたさくらちゃんの首に口づけをする。
ちゅう、と吸いあげると、鉄のような血の味がした。
十四松「さくらちゃん……大好きだよ」
「わたしも……だいすき。十四松くん、ずっと一緒にいようね…?」
さくらちゃんの手が、ぼくの手をにぎった。
ぼくたちは、これからもずっと一緒。
もう離れることはできない。
だって、ぼくたちは、ひとつの痛みをはんぶんこにして生きているのだから。
<End...>