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【おそ松さんR18】君がため

第30章 はんぶんこ《十四松END》




Side 十四松


さくらちゃんは、カラ松兄さんと同じ部活の女の子だった。


クラスが同じだったから、顔と名前は知っていたんだけど、話したことは一度もなくて…

だから、カラ松兄さんがさくらちゃんを家に連れてきたときは、びっくりした。


話してみてわかったことがある。さくらちゃんは、すごくいい子で、可愛くて、やさしくて、良い意味で普通の子だった。

ぼくがさくらちゃんを好きになるまで、時間はかからなかった。



でも、ぼくは知ってる。

さくらちゃんが好きな人は、カラ松兄さんだ。



さくらちゃんは、いつもカラ松兄さんと2人で帰っている。

部活がある日はもちろんそうだけど、部活がないときでも、一緒に帰って、帰りにどこかに寄り道しているみたい。


ぼくだって……さくらちゃんとふたりで出かけたかった。

一緒に帰って、一緒にいろんなところに寄り道して、帰り際にばいばいって手を振り合いたかった。


だから……


十四松「ねえ、さくらちゃん!!」


朝、ぼくは、登校してきたさくらちゃんに抱きついた。

さくらちゃんは、バランスをくずし、教室の床に尻餅をついた。


「ちょっ…十四松くん! 教室ではやめてって言ってるじゃん…もう!」

十四松「あはは〜、ごめんごめん! ついつい!」


さくらちゃんは、優しい。

いくらぼくが人前で抱きついても、最後は笑って許してくれる。


十四松「ねっ、さくらちゃん! 今日もカラ松兄さんと帰るの?」

「えっ……う、うーん、どうかな。今日は部活がないし、特に約束してるわけでもないけど……」

十四松「だったらさ! ぼくと遊びに行こうよ!!」


勇気を出して誘ってみた。

すると、さくらちゃんは、目に見えるほど顔を赤くして、目を見張った。


「えっ……ええっ!? それって、ふたりで?」

十四松「うんっ! そうだよ、ふたりで!」

「い、いいけど……めずらしいね! 十四松くんがふたりで遊びに行こうだなんて」

十四松「たまにはぼくだってさくらちゃんを独り占めしたいよー!」

「そ、そっか…うん、楽しみにしてるね」


そう言って笑ったさくらちゃんは、女の子の顔をしていた。




 
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