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【おそ松さんR18】君がため

第28章 守りたい《十四松END》




「だめっ! 十四松くんッ」


わたしは、ふたたび十四松くんの手をつかんだ。

しかし、十四松くんの力には敵わなかった。


十四松くんは、思いきりわたしを床に叩き付けると、わたしの上に馬乗りになった。


十四松「ねえ、さくらちゃん? さくらちゃん、前に言ったよね? ぼくの抱えてるものを自分にも分けてほしい、って」

「そ、それは……っ」

十四松「だからさ、これ、半分こにしようよ? ね? そしたら、きっとあの子も、もっと喜ぶとおもうんだー」


十四松くんは、わたしの腕を掴みあげると、

そこにつー、とカッターを滑らせた。


「……ッ」


腕が切れて、赤い血が滴った。

けれども、今は、この腕の痛みよりも大事なことがあった。


「十四松くん……十四松くんがリスカしてた理由は、これだったの?」

十四松「うんっ! そーだよ?」

「じゃあ、可愛がっていた動物が死ぬたびに……その動物と同じ苦しみを感じるために、こんなことしてたの……?」

十四松「ねえ、何が言いたいの?さくらちゃん?」


十四松くんの顔色が変わった。

けれども、わたしは、構わずにつづけた。


「こんなことをしたって、動物たちは喜ばないよ…! 十四松くんがこんなことしてたら、死んでしまったみんなだって、心配で天国に行けないよ…!」

十四松「……っ」

「あの仔犬だって……十四松くんがこんなふうに傷つくことを願ってなんかない! あの子は――」

十四松「さくらちゃんのうそつきッッ!」


突如、十四松くんは、わたしの言葉を遮った。

その瞳から、大粒の涙があふれだす。


十四松「自分にも分けてほしいって言ったくせに!! ぼくの力になってくれるって言ったくせに!! うそつきうそつきうそつき」

「十四松くん、あれはこんな意味で言ったわけじゃ――」

十四松「もう出て行って!」


腕をつかまれて無理矢理立たせられた。そして、そのまま、廊下に突き飛ばされた。

その衝撃で、わたしは、かたい床に尻餅をついた。


「痛っ……」

十四松「もうさくらちゃんのことなんて信じない」


ぴしゃりと目の前で扉を閉められた。

わたしは、完全に拒絶されたのだ。


「十四松くん……」


閉められた扉にむかって、呟く。

わたしは、どうしたらいいの……?


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