第27章 幸せになりたい《チョロ松END》
翌日、目を覚ますと、なんだか身体がだるく感じた。
昨日のチョロ松くんとの行為のせいかなって思ったけれど、立ち上がった瞬間に力が入らずふらりとその場に倒れてしまい、ああこれは熱を出したなと気付いた。
唯一まだ寝ていた一松くんを起こして、体温計を持って来てもらい、熱を測る。
体温計は、40℃を超えた数値を示した。
一松「……大丈夫? すごい熱……」
「うん……たぶん大丈夫」
一松「病院、行く?」
「ううん、平気だよ。一日寝てれば治る……はず」
たぶん、これは、いろんなことを考えすぎたことによる熱だ。
だから、ちょっと休めば熱は下がるはず。
一松「……あとでポカリ買ってくるから。大人しく寝てて」
「うん、ありがとう」
出て行く一松くんの背中を見送って、布団をかぶってふたたび眠る体勢に入る。
なんで、わたし、チョロ松くんのことを好きになってるんだろう……
よりによって、6つ子の中で、唯一わたしに恋愛感情のないチョロ松くんを……
「きっと、チョロ松くんは、元々わたしのことなんか好きじゃないんだな……だから、昨日、ちょっといい感じになって、わたしのことが鬱陶しくなって、あんな態度を……」
たぶん、そうに違いない。
それに、もしかしたら、チョロ松くんが眠っている間に、チョロ松くんの香りを嗅いでいたことが、ばれたのかもしれない。
好きな女の子ならともかく、好きでもない女にそんなことをされたら、誰だって気持ち悪いと思うに決まってる……
「ごめんね、チョロ松くん……」
誰にもきこえない声で、ぽつり呟く。
そのまま、目を閉じて、わたしは夢の世界に身を投じた。
遠くで、誰かの声がする。