第26章 なんで?《チョロ松END》
目覚めると、隣にチョロ松くんがいなかった。
……腕枕、つかれたのかな。
ちょっぴり残念に思いながら、身を起こして、壁にかけられたアナログ時計に目をやる。
時計の針は、ちょうど5時をさしていた。
「もうすぐ夕飯の支度しなきゃ……」
今日の当番は、わたしと一松くんだったはず。
一松くん……もう帰ってきてるかな?
立ち上がり、廊下に出たところで、ちょうど帰ってきた一松くんとばったり出くわした。
「あっ、一松くん! おかえり」
一松「ただいま… 夕飯、つくる?」
「あ、忘れてなかったんだね。えらいえらい」
一松「当たり前でしょ……」
一松くんは、褒められ慣れていないのか、顔を赤くしてそっぽを向いた。
ちょっと、可愛い、かも。
「今日は煮物にしようと思って、材料買っといたんだ〜。早くつくろー」
一松「そうなんだ……着替えてくるから、先に台所行ってて」
「うんっ」
わたしは、台所へ行き、エプロンをしめた。
そして、一松くんが来る前にお米をといでおくことにした。
お米は、炊けるまで時間がかかるし、なるべく早く炊飯器にセットしておいたほうがいいから。
お米をといで炊飯器にセットしたところで、やっと一松くんが台所にやって来た。
一松「…何すればいい?」
「えーっと、じゃあ、まず、この野菜を洗ってくれる? そんなに綺麗に洗わなくていいよ、皮剥くから」
一松「わかった…」
一松くんは、わたしに言われたとおり、野菜を適当に洗い始めた。
そして、わたしは、洗い終わった野菜の皮むきに取りかかる。
ちなみに、わたしは、ピーラーではなく包丁でむく派。
なんか、使いづらいんだよね、ピーラーって。ずるって手が滑ったりしてひやひやするし。
と、そのとき。
「っ…いたっ」
突然、指に鋭い痛みを感じた。
見ると、左手の薬指が、包丁で切れてぱっくりと割れていた。
「うわ……やっちゃった……」
どくどくと溢れてくる血を見ながら、溜め息をつく。
と、わたしの異変に気付いた一松くんが、飛んで来た。
一松「え……だ、大丈夫?」
「あは…大丈夫だよ。洗って絆創膏はっとけばすぐ治るよ」
一松「……だめだよ、そんなんじゃ」
そう言うなり、一松くんは、わたしの左手を取った。
そして……