第25章 好きになってもいいですか《チョロ松END》
Side チョロ松
さくらちゃんが小さな寝息をたて始めたのを確認して、僕は目を開けた。
目を開けると、至近距離にさくらちゃんの寝顔があって、思わずどきっとした。
……さくらちゃんは、かわいい。
本当は、見た目だってすごくタイプだし、さくらちゃんの愛嬌のある性格や仕草だって大好きだ。
でも、僕は、それがラブではなくライクだと言い張ってきた。
他の兄弟が全員さくらちゃんに恋愛感情を向けているのに対して、僕は、そうではなかった。
僕は、さくらちゃんのことが好きだけど、それは恋愛感情ではない。
さくらちゃんを抱くのは、たださくらちゃんをいじめたいから。
泣いて感じて羞恥するさくらちゃんの顔を見たいから。
……でも、それは、ちがった。
僕は、自分に言い聞かせてたんだ。
さくらちゃんを好きになっちゃだめだって。
だって、さくらちゃんは、昔からカラ松兄さんのことが好きで、
その上、僕の兄弟をふくめ、色んな男子がさくらちゃんに好意を向けていた。
僕は、負け戦はしない主義だったし、なにより、自分が苦しいのは嫌だった。
だったら、好きにならなければいい……好きになって苦しむくらいだったら、その感情を殺してしまえばいい。
これが、僕の本音。
チョロ松「さくらちゃん……」
名前を呼んで、さくらちゃんの頬に触れる。
愛しくて、たまらない。
僕は、確かに、さくらちゃんをいじめたいし、泣かせたい。
でも、それは、全部、この愛しさから来る感情だ。
チョロ松「君のこと……好きになっちゃだめかな」
本当は、さくらちゃんを独り占めしたい。
僕のものにして、1日中かわいがって甘やかしてあげたい。
チョロ松「だめだ……こんなの」
この感情は、殺さなくてはいけない。
僕は、意を決した。