第24章 救いを求めて《おそ松END》
急いで朝ごはんをかきこんで、食器を片付けると、わたしはすぐに二階に向かった。
もちろん、おそ松くんと昨日のことを話すためだ。
寝室のふすまを開けると、おそ松くんは、窓辺で煙草を吸っていた。
食欲がないって言ってたのに……具合が悪そうには見えない。
「おそ松くん……」
わたしが呼びかけると、おそ松くんは、わたしのほうに顔を向けた。
おそ松「さくら……どったの?」
「おそ松くんと話がしたくて……」
わたしのその答えを聞いたおそ松くんは、ふーっと息を吐いて、煙草を灰皿に置いた。
おそ松「うん、いいよ。なんでも聞いてやるよ?」
「聞いてほしいって言うか……答えてほしいの。おそ松くん、昨日、どこで何をしてたの……?」
わたしが問うと、おそ松くんは表情を消した。
その瞳が、また、光を失っていく。
けれども、わたしは、構わず続けた。
「お願い、答えて。おそ松くん、あのときから様子がおかしいよ? 何があったの? ……何を、したの?」
何って、パチンコだよ?
新台入れ替えだって言うから張り切って行ったのに、全然当たんなくてさ。大負け!
だから、ちょっと機嫌わるかったの。ごめんな!
おそ松くんが、そう言ってくれることを、わたしは願った。
けれども、おそ松くんは、わたしの願いとは裏腹に、顔をうつむけ、肩を震わせて泣き出した。
……いや、ちがう。
泣いているんじゃない。笑っている。
おそ松くんは、肩をくっくっと震わせて、笑っていた。
「……お、おそ松くん?」
突然笑い出したおそ松くんに、わたしは、思わず後ずさった。
と、おそ松くんの手が、わたしの手首をつかんだ。
「……っ!?」
おそ松くんは、狂気に満ちあふれた瞳をわたしに向け、にたりと笑った。
おそ松「……だってさ、アイツが悪いんだぜー?さくらは俺たちのものなのにさ、それを攫っていこうとしてさあ……ったく、ひどい話だろ?さくらもそう思うよなァ?」
「えっ……な、なに……? おそ松くん……?」
ただならぬ様子のおそ松くんに、恐怖がこみあげてくる。
本能が、逃げろとわたしに訴えてくる。