第24章 救いを求めて《おそ松END》
あんなことがあってから、カラ松くんは、わたしに対して怒っているような態度をとるようになった。
いや、事実、怒っているんだろう。
だって、カラ松くんからしたら、わたしは、口ではカラ松くんを好きと言いながら一松くんと付き合って、その上おそ松くんとも身体の関係をもっていた、ただの尻軽女だ。
嫌われて当然。軽蔑されて当然。
でも……やっぱりきつい。
この家で、唯一、わたしの心の拠り所だったカラ松くんに嫌われるのは。
わたしは、また、だんだん、この家から……6つ子たちから逃げ出したいと考えるようになっていった。
けれども、6つ子たちがわたしに与えた愛という薬物の影響は、絶大だった。
逃げ出したい、でも、逃げられない。
だって、わたしは、わたしをここに閉じ込めたみんなのことを、愛しいと思い始めていたのだから。
そんなある日、
おそ松くんが、散歩に行こうと言い出した。
あからさまにわたしに怒りの感情を向けるカラ松くんに対して、おそ松くんは、ふたたびわたしに友好的に接するようになっていた。
もう遠慮しなくていいんだよな、という言葉どおり、おそ松くんの中で何かが吹っ切れたかのように、
彼は、ふたたび遠慮のないマイペースでお調子者で能天気な彼に戻っていた。
「散歩って、どこに?」
おそ松「んー、たまには商店街でもぶらぶらする? ほら、さくらって甘いもんとか好きじゃん? クレープとか食いたくね?」
「食べたい……!」
クレープなんて、もう何年も食べてない気がする。
商店街のクレープ屋さんと言えば、この町の名物で、いつも女子高生やOLさん風の女の人たちが行列をつくっている。
わたしも、高校のとき、一度、トド松くんと一緒に並んで食べたことがある。
おそ松「じゃ、決まりな。支度できたら行くよー」
「うん、待ってて」
わたしは、おそ松くんを待たせたら申し訳ないので、いそいで身支度に取りかかった。