第19章 わたしの気持ち《一松END》
「め、目移りっ……?」
そんな。それじゃあ、わたしがカラ松くんと一松くんのどちらが好きか答えられなかったから、こんなことを……?
「じゃあ……あのとき屋根の上でわたしを殺そうとしたのも……あなたなの?」
カラ松「…ああ。そうだよ。あのとき迷わず俺を好きだと答えてくれれば、こんなことはしなかったんだけどなああ?」
カラ松くんは、カラ松くんとは思えない恐ろしい笑みで、
カラ松くんとは思えない冷たい声で、そう言った。
怖くて、ショックで、身体が震える。
けれど、今は、それよりもやらなくちゃいけないことがある。
「……カラ松くん…わたしのことは、あなたの好きなようにしていいよ……だから、今は、とりあえず救急車を呼んで? 一松くんを…助けて……」
そう。こうしている間も、一松くんは、痛くて苦しい思いをしている。
それに、見たところ、傷は結構深い。このまま出血多量で死んでしまうかもしれない……
しかし、その瞬間だった。
カラ松くんは、包丁を握る手に力をこめ、そのまま、一松くんの背中に、ますます深く刃を刺しこんだ。
一松「っ…く…! つ、ッッ」
「ちょっ、ちょっと! カラ松くん!何してるの!?」
やめて!やめてやめてやめて…!
なんでこんなことするの、カラ松くん…
カラ松「ん〜? だって、さくら、一松のこと好きなんだろ? だったら、いっしょにあの世に行きたいんじゃないかなあああと思って」
「そっ、そんなの望んでないよ…! お願い、やめて!!」
しかし、もうカラ松くんはわたしの話なんて聞いていなかった。
カラ松「あっ、もしかして、このまま思いきり突き刺せば、さくらのところまで刃がとどくんじゃないか? その前に一松が死んじゃいそうだけど……ま、いいよなああ?」
「カラ松くん……っ」
いやだ、……わたしのせいで、一松くんが……っ
そのとき。
トド松「えっ、ちょっと! 何してるの、カラ松兄さんッ!」
チョロ松「なにこれどういう状況!? 」
トド松くんとチョロ松くんの声がした。