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【おそ松さんR18】君がため

第19章 わたしの気持ち《一松END》




Side 一松


僕がさくらと出会ったのは、高校1年生のとき。

高校に入学して、学校も、教室も、クラスメイトも、制服も、教科書も、何もかもが新しくなって…

そして、僕は、さくらと出会い、自分の中の『新しい』感情に気がついた。



さくらは、明るくてフレンドリーで、誰からも好かれるような子だった。

顔がずば抜けて美人なわけではない。

スタイルがいいわけでもない。

でも、さくらには、言葉では言い表せることのできない魅力と、人を惹き付ける力があった。


それは、まるで、蝶を誘惑する花のように。

僕も、さくらの甘い花の香りに引き寄せられた一人だ。


とは言え、僕みたいなコミュ障が、自ら女の子に話しかけるなんて絶対に無理。

だから、僕は、いつも教室の隅、窓際の自分の席に座って、勉強をしているふりをしながらさくらを観察していた。


……見ているだけで幸せだった。


だから、いいよね?

見るだけだから……迷惑をかけたりしないから……

これくらいは許してほしい。


僕は、心の中で神様に許しを請いながら、毎日、さくらの姿を写真におさめた。



だから、その年の夏、

カラ松兄さんがさくらを家に連れてきたときは、正直、身体が震えた。


「はじめまして……って言うべきなのかな?同じクラスの梅野さくらです」


さくらは、そう言って、僕たち兄弟に頭を下げた。

初めて間近で見るさくらは、きらきらしていて、すごく眩しかった。


「あっ、待って。わたし、誰が誰なのか当てられる自信あるから!」


さくらは、そう言って、左端にいるおそ松兄さんから順番に、


「あなたはおそ松くんでしょ? いつも先生に呼び出されてるよね」

「それで、あなたがチョロ松くん。生徒会に入ってるでしょ? わたしの友達がよくチョロ松くんのこと話してるよ」

「あなたは十四松くん。パーカーの袖がいつもだぼだぼに伸びてるからすぐわかるよ」


と指を指し、そして、最後に僕に目を移し、にっこりと笑った。


「あなたは、一松くん。めちゃくちゃ頭がいいって噂の秀才くんでしょ」



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