第18章 好きって言って【カラ松、一松】
一松くんは、それを口に運ぶと、「…おいしい」と呟いた。
よかった……ちゃんと上手くできてたみたいだ。
それから、一松くんは、すごいスピードでオムライスをたいらげた。
よっぽどお腹がすいてたんだと思う。
一松「ごちそうさま……すげー美味かった」
「よかった。またいつでも作ってあげるよ」
一松「……ねえ、さくら」
突然、一松くんの声色が変わった。
「うん……?」
一松「これ……どうしたの」
一松くんは、わたしの手を取り、その手首をすーっと指でなぞった。
言われて初めて気がついた……
手首に、紐で思いきり締め付けられたような赤い痕がついている。
一松「しかも、両手……誰かに何かされた?」
「え、えっと……これは……」
一松「もしかして……カラ松にされたの?」
もう本当のことを言うしかない。
「さっき、図書館で……本当は、具合悪くて気を失ったんじゃないの」
一松「……」
「本当はね、十四松くんとトド松くんにトイレに連れていかれて、それで……手を……縛られて、」
これは、きっと、そのときについた痕だ。
「黙っててごめん、一松くん……」
一松「……そっか」
一松くんは、抑揚なく呟いて、わたしの手首に唇を寄せた。
そして、そこに触れるだけのキスをした。
「一松くん……?」
一松「ごめん……気付かなくて」
「えっ…いや、その、……」
一松「痛かったよね……?」
ちゅくり…
まるで、傷を癒そうとするかのように、そこを優しく舐められた。
突然のことに、びくっと身体が小さくはねる。
「…っ、いちまつくんっ…」
一松くんは、何も言わずに、手首から唇を離し、
そして、今度は、唇にキスをしてきた。
「あっ……んッ、ん」
するりと舌が滑り込んできて、優しく歯列をなぞられる。
そして、丁寧に口内を舐め尽くしたのち、ようやく舌を絡めとられた。
「あんっ…いひまふ、く…っ」
一松「…かわいい。好き、さくら……」
今までとは比べ物にならないくらい、優しい声色だった。
一松「もっとちゃんと口あけて……」
「う…はッん……うん」
言われたとおりに口をあけて、キスを受け入れる。