第18章 好きって言って【カラ松、一松】
家に帰るころには、あたりはすっかり暗くなっていた。
もうすぐ夕飯どきだ。お腹すいたなあ…
お腹をすかせながら帰宅したわたしと一松くんを迎えてくれたのは、美味しそうなお鍋の香りだった。
「今日は鍋みたいだね」
一松「…うん。僕、着替えてくるから。先に居間行ってて」
「わかった」
着替えをするために二階に行ってしまった一松くんを見届けて、居間のふすまを開ける。
居間では、みんなが鍋を囲んで座っていた。
その中には、もちろん、十四松くんとトド松くんの姿もある。
……と、ふすまを開ける音に反応してか、5人の目がこちらを向いた。
「……ただいま」
おそ松「おっ、さくら。おかえりー」
チョロ松「遅かったね。デート、楽しかった?」
「っ……あ……」
そっか。今日一松くんとデートに出かけたこと、おそ松くんとチョロ松くんも知ってるんだ……
ふと十四松くんとトド松くんを見ると、ふたりは、なんとも言えない険しい顔でわたしを見つめていた。たぶん、怒ってるのかな……
「た、楽しかった、よ……」
とりあえずは、そう答えるしかない。
おそ松「ふーん? ま、その話はあとでゆっくりな。とりあえず、腹へったっしょ? 鍋食おうぜ、鍋!」
おそ松くんは、わざとらしい明るい声でそう言って、わたしが座れるようにスペースをあけてくれた。
こくりと頷いて、おそ松くんとカラ松くんの間にお邪魔する。
と、カラ松くんの手が、わたしの腕を引いた。
「……っ、どうしたの、カラ松くん」
カラ松「…おかえり、さくら」
誰にも聞こえないような小さな声で、耳元に囁かれた。
「……っ?」
おかえり、って。
どうしてそんな小声で言うんだろう。別に普通に言えばいいのに。