第17章 こっち見て【十四松+トド松】
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目を覚まして最初に目に飛び込んできたのは、図書館の白い天井だった。
おかしいな…
わたし、十四松くんとトド松くんにトイレで襲われて気を失ったはずじゃ…?
???「…さくら?」
不意に横から声がして、首を回してそちらに目をやる。
と、一松くんの不安げな瞳と目が合った。
そこでようやく、自分がソファのような長椅子に寝かされていることに気がついた。
「一松くん……?」
一松「さくら……大丈夫?」
「大丈夫って、なにが?」
一松「トイレで倒れてるのを司書さんが見つけて、ここに……スタッフルームに運んでくれたんだよ」
「……そうだったんだ。ごめんね、心配かけちゃったね」
ソファの上で身体を起こして、ぐるりと周りを見回す。
周りには、あらゆる本が山積みされていた。
図書館のスタッフルームってこうなってるんだ……
一松「ずっと具合わるかったの? …むりやり連れ出して、ごめん…」
「ちがうよ。そんなことない。図書館に連れてきてくれて、うれしかった」
一松「ほんとに…?」
「うん、本当だよ。ありがとう、一松くん……えっ?」
突然、
一松くんに抱きしめられた。
苦しいくらい強い力で。
「ちょっと……どうしたの、一松くん」
一松「……さくら、本当に好き…」
いつになく真剣な一松くんの声色に、心臓がどきっと音をたてた。
「……い、いきなりどうしたの?」
一松「ごめん……別にどうしたわけじゃないんだけど、伝えたくなった」
「……っ」
一松「僕、さくらのこと大切にしたい……大切にする……だから、」
……カラ松じゃなくて、僕を好きになって。
一松くんは、そう言って、わたしをますます強く抱きしめた。