【ハイキュー!!】夢の続き ~another story~
第4章 episode III :孤爪 研磨はいつも傍観。
そして、葵の受験日二日前–––
『ねぇ、ほんとにいいの?』
「うん、バレた時はまぁ……研磨に任せる。」
『いや、ちょっと……。』
見送るために、おれは駅に来ていた。
だけど、ここにクロはいない。
葵がクロは絶対に連れてこないでって言ったからなんだけど……。
本当によかったのかな。
『あ、新幹線もうすぐくる……』
「わっ、ほんとだ!じゃあ……研磨……」
『ん、いってらっしゃい』
「うん、いってきます」
そして、葵は駅の中へ駆けて行った。
長い髪を揺らして。
おれはいつまでもその背中を眺めていた。
ああ、本当に行ってしまうんだ。
今日から葵のいない東京で、"いつも"を暮らさなきゃいけないんだ。
いつも通り、朝練行って
いつも通り、授業受けて
いつも通り、また部活して
そして、いつも通り帰って––––––
ポカン、と穴を開けられたみたいだった。
大事な幼馴染の門出を祝いたい反面、これから先葵がいない日常を送ることに物凄く不安を感じる。
(でも、葵が決めたことだから……
おれは否定しないし、応援、する。
がんばって、葵–––––)
おれは、見えなくなった背中に微笑みかけて、踵を返して自分の家へ一人で帰った。
–––孤爪 研磨はいつも傍観。–––終