【ハイキュー!!】夢の続き ~another story~
第3章 episode II :黒尾 鉄郎の楽しみ
それから何度もいつもの公園で葵と遊んだ。
相変わらず、靴はまともなものを履いてきたことは数回しかなく、脱走してきていた。
『おまえまた脱走か?おじさんに怒られるぞ』
「だいじょぶ、だいじょぶ!バレる前に戻ればいいのだよ」
ドヤ顔で、おまけに人差し指を顔の横で立てて、俺は半ば呆れて笑った。
研磨ともゲームで通信をして、すっかり打ち解けていた。
そして、そんな日々が続き遂に彼女はランドセルを背負う年になった。同時に彼女は病院を一時退院した。
病院から出るとき、まだその体には大きすぎるランドセルを背負って、看護師さんや医師、あいつの両親が沢山の花と拍手で祝った。
当然、俺たちもその場にいた。
照れくさそうにはにかむあいつは本当に嬉しそうだった。
「鉄郎くん、研磨くん、こんな子だけでよろしくね?」
葵の母親が俺たちに目線を合わせながら、困ったような笑顔でそういう。
俺たちは、コクリと頷く。当たり前だ。断る理由がまずない。
おばさんはありがとう、と微笑んで頭を下げた。
気のせいか、うっすら目に涙を浮かべて……。
おじさんはというと……
「うぉぉぉぉおお!こっち向いてー!葵ー!!笑顔!笑顔で!!!」
と、カメラを構えながら全力で撮影会。
「恥ずかしいからやめておとーさんっ!」
周りの人もずっと笑っていた。
俺たちも、同じように。
それから、俺たちは毎日3人で学校へ一緒に行った。
––––黒尾 鉄郎の楽しみ–––– 終