【ハイキュー!!】夢の続き ~another story~
第3章 episode II :黒尾 鉄郎の楽しみ
研磨とバレーをして数分後のことだった。
研磨が急に止まった。それはもう、研磨だけ時間が止まったかのように–––––。
俺のトスは虚しく落ちる。研磨がやっと動いたかと思えば、今度は顔を伏せ–––しかし目は俺の頭上を、様子を伺うかのように見て–––微動だにしない。
変に思った俺も、研磨が見ている方向へ目を向ける。
そこには、パジャマ姿の俺より年下のような少女がいた。まだ肌寒い春の日に、薄そうなカーディガンを羽織って。
公園のそばの階段の上から、明らかにその子はこちらを見ていた。
目を輝かせて。
『………な、なに?』
「!」
おずおずと声をかけると、少女はやっと自分のしていることに気がついたのだろう。バツが悪そうに顔を逸らす。けれど、こちらの様子が気になるみたいか、目はちらりちらりとこちらを向く。
『いっしょに遊ぶか?』
「!!………い、いいの?」
目を輝かせて、嬉しそうに尋ねるその子。研磨は俺の背中に隠れているが、別に、と呟いた。
『いいぜ』
その言葉と同時に彼女は階段を駆け下りてくる。その身なりにまた俺はびっくりした。
なんと、履いていたのがスリッパだったからだ。