第2章 身代わりの晩餐会
右肩に走った激痛で、私は斬られたことに気付いた。
(もうすこし夜目がきいて、もうすこし剣技がうまかったら良かったのに。)
そう思いながら、相手の刃がゼンに触れていないことに、ほっとしていた。
すぐに近衛兵がゼンのもとにやってきたので、明かりが戻る前に私は会場から姿を消したのだった。
そのあとのことは、実はよく覚えていなくて、気付いたら薬室の奥にあるベットの上だった。
(あぁ、そういえば目が覚めてすぐにイザナにこっぴどく叱られたっけ。)
それと、ロイヤルブルーに涙をいっぱい溜めたゼンが
「瀬那!瀬那!」
と人の名前をいやというほど呼び続けて、イザナがゼンに私との面会禁止令を出して揉めたっけ。結局1日で撤回されたような気がする。
懐かしい王子との出会いを思い出しながら、自分の右肩に手を添えて、そっと撫でた。